先日開催された「外乗と南部地方の馬文化を巡る旅」の参加者の声が寄せられました。FRCの活動についてご覧ください。
青森の七戸十和田駅で参加者一同5名集合。夏日の関東から到着した私たちを少しひんやり心地よい風とともにスポーツ流鏑馬の女流騎手・上村鮎子氏が颯爽と出迎えてくださった。
上村氏は今回我々一行がお世話になった十和田乗馬クラブの代表であり、昨年の令和3年ドイツ・アーヘンで開催された馬術フェスティバルのオープニングセレモニーにおいて流鏑馬のデモンストレーションをされてきた方でもある。上村氏は駅舎の壁面に描かれた南部馬のなだらかな背の曲線を私たちに気づかせてくださり、駅前広場からそれを見上げながらこの旅はスタートした。
コロナパンデミックの影響により約2年ぶりに届いたFRCからの旅の案内に、『外乗・南部地方の馬文化を巡る』があった。大和朝廷の時代から優秀な馬として日本の歴史に名を馳せた南部馬の産地を訪れ、その歴史と文化に触れながら外乗も楽しむツアーのである。
和種馬に興味を惹かれはじめていたところで届いたこの企画に私は嬉しく心が動いた。ところが、ただひとつ個人的な問題があって参加を迷った。
外乗に憧れて乗馬を始め、FRCではニュージーランド、フランス等海外のツアーも経験させていただいたが、万年初心者のうえに日々感じる老化現象、コロナ禍でのブランクも大きく外乗に少々不安を感じた。さらに現在後期高齢の親の世話もあり、いま落馬でケガなど絶対にできない状況にあるからだ。さて、どうしたらいいか、引率してくださるFRCの田中氏に、外乗だけパスしてよいか相談のメールをさせていただいた。すると、他にも外乗をためらっている方がおられるが、「新南部馬」は小ぶりだし、万が一落ちても海岸の砂地だし大したことないですよ。それに走りたくない人は無理に走る必要ないし・・・。こんなやり取りをしながら当日を迎えたのだ。
上村氏のご案内で巡った旧盛田牧場南部曲屋育成厩舎(登録有形文化財)、馬の文化資料を集めた称徳館、新南部馬の育成にも力を注いでいる十和田乗馬クラブ、馬関連の彫刻やオブジェが点在し日本の道百選にも選ばれた美しい官庁街(駒街道)、旧陸軍馬補充部跡、毎年桜流鏑馬会場になる桜並木などを巡り、南部馬とその産地の歴史と文化に触れることができた。
嬉しいことに上村氏は私たちの夕食にもお付き合いくださり、ご当地グルメのバラ焼、豚タン焼、鮭のルイベなどに十和田の食文化を味わいながら翌日の海外外乗の話題にも花が咲き、FRCならではの和やかで楽しいひと時を過すことができた。
快晴の翌朝、ホテル近くで十和田乗馬クラブの馬運車と合流し、奥入瀬川が太平洋へと注ぎ込む百石海岸へと一行は向かった。車窓に広がる水田には、1週間前ほど前に田植えされたという小さな苗が風できらきらと輝き揺れていた。30分ほどドライブをすると道の真正面に海が見えてきた。
十和田乗馬クラブ関係者以外誰もいない朝の海岸、到着した馬運車から馬たちがゆったりと下りてきた。残念ながら南部馬の純種は絶滅してしまったが、優秀な軍馬の血を受け継いだ子孫が、いまは新南部馬と称され故郷の地域振興の立役者として大活躍している。馬体は和種独特の小ぶりで穏やか、愛嬌があるその表情はたまらなく可愛い。
紺碧の空にくっきり浮かぶ雲を馬上から見上げながら、寄せては返す小さな白波の音を聞きながら、いつの間にか当初の杞憂は消え去り、私はウォーク、トロットを満喫できた。もちろんキャンターを楽しんだメンバーもいる。それぞれがそれぞれに馬とのふれあいを楽しむことができる外乗だった。
次に来る時は、流鏑馬で活躍する彼らの勇姿も眺めてみたい。
迷ったけれどもやっぱり今回もFRC企画の馬旅に参加してよかった!
東京都 福嶋安輝子
初めて和種の馬に乗りました。「新南部馬」は高さがなく鐙に足をかけて乗れるので怖さは半減、砂浜の駈歩を楽しませてもらいました。パートナーとなったシンドリーに感謝です。馬の町、十和田の歴史も興味深く、地元グルメ「十和田バラ焼き」、八戸の海産物市場「八食センター」のお寿司はよい思い出です。今度行けたら流鏑馬にも挑戦してみたい!
お世話になった皆さま、ありがとうございました。
埼玉県 MU
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